送別会の主役として、潰れる訳にはいかない!
P社の送別会がありました。
名古屋での最後の送別会です。
思えば、名古屋に引っ越して一月後に入社したP社で、気がつけば二年半働きました。
名古屋での生活は、P社なしでは語れません。
そんなP社の皆さんが一同にかいする、千歳にとっては最後の日です。今回は千歳も気合が入ってます。
というわけで、送別会の始まる一時間前に、千歳は近所の薬局を訪れました。
「すみません。今日、自分の送別会があるんですが、飲んでも酔わない薬って売ってないですか」
高知でも素人の薬局でこれを言うと、たいてい「なに言ってんだ、こいつ?」みたいな顔をします。
お酒は酔うからいいんやろ? 店主の心の声が今にも聞こえてきそうな程です。
しかしですね、それは酒に強いから言えるんですよ。
千歳は、ビールをコップ一杯も飲むともう十分という気分になります。
顔も真っ赤になってユデダコ状態。これでは、せっかくの送別会も楽しめませんし、お酒を注がれても楽しくありません。なにより、せっかくの席で皆さんの酒のすすめを断らないといけないということが、千歳にとっては非常に申し訳なく、苦痛だったりします。
そんな理由から、ここぞという酒の席では、千歳はいつも薬局に足を運ぶわけです。ちなみに名古屋では今回が始めてのドーピングですが、高知ではしょっちゅうやってます。酒豪の割合が極めて高い高知では、そうでもしないと生きることが困難なのです。
まあさっきも言ったとおり、素人の薬局では反応からしてこうですから、たいした薬は期待できないんですがね。わかっている薬局は反応からして違うんですよ。
そこにはあるんです。「酒に酔わないセット」というやつがね!
それについては、また後日じっくり語らせていただきます。
店主:「お酒弱いんですか?」
さて、名古屋の薬局の店主は、千歳にそう聞いてきました。
千歳:「めちゃくちゃ弱いです」
きっぱり。
店主:「そうですか。……ではこれなんかどうですか?」
さすがに店主も苦笑しながら、冷蔵庫に入っている二日酔い用に作られたドリンクセットを持ってきます。
さて、通常の方なら、これで納得して、買って服用して飲みに行くことでしょう。
しかしですね。千歳は簡単には納得しないです。出されたドリンクセットを様々な角度から眺めつつ、店主に聞いて見ます。
千歳:「これを飲むと、酔わないですか?」
店主:「んー、まあ悪酔いはしないですよ」
……素人だ。千歳は心の中で断言しました。こんな店のセットなど、千歳のような下戸の中の下戸に、どれほどの効果があることか。
もう、この店にはいい薬は期待できないのでしょうか。
しかし千歳は食い下がりました。
千歳:「もっと、他にないですかね。たとえば錠剤とか」
店主:「錠剤、ですか?」
千歳:「ええ、なんというか、肝臓の代わりを果たしてくれるっていうか、第二の肝臓っていうか、むしろこの薬こそが肝臓みたいな、そんな感じのものってないですか?」
店主:「んー」
店主さん、明らかにお困りのご様子。しかしながら、千歳の必死の思いが通じたんでしょうか。ごそごそと、なにやら箱を取り出してくれます。
「じゃあ、これなんかどうですか? 人によっては、全然酔わないと言う人もいる薬です」
それですよ。
というわけで、千歳はその錠剤を買いました。もちろんドリンクのセットも買っています。
これでやれるだけのことはやった。意気揚々と、千歳は送別会にのぞみました。
結果ですが、なるほど、確かに効き目があるようで、顔こそすぐに赤くはなりましたが、そこから、なかなかの粘りを発揮してくれました。お酒もかなり一杯飲みました。
ドーピングのすえの結果とはいえ、千歳の肝臓大活躍です。肝臓ありがとう。薬局の人もありがとう。みんな、酒もってこい。
というわけで、その日の送別会は、次の日の朝未明まで続きましたとさ。

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