本屋でのアルバイト中、突然やってきた女の子に言われた、これ以上ないくらいの衝撃の一言。
人生というものは時に、まったく予測出来ないような出来事により、自分が考えていた将来とは大きく違った方向へ流れていってしまうことがあります。
今の千歳の年代でいくと、「出来ちゃった婚」なんてのはその典型的な例でして、まあ覚悟してたんなら別ですが、千歳の男友達のように
「俺には種がないから子供は一生できん。だから生でも平気」
なんてことを真顔で言ってた奴なんかは、もう当然のように運命に翻弄され、今はパパとして新しい人生を歩んじゃってるわけです。
それが友達もけっこうまんざらでもなさそうだったり。
ところで千歳は昔、本屋でのアルバイトで生計を立てていたことがあります。
期間にして約一年ほどでしたが、なかなか色々と濃い体験をさせて頂いた一年でした。
その時期での一番の自慢は、「あの人超かっこいいねー」と女子高生たちに騒がれた経験があることですが、それもいまや昔の話。もう二度とないでしょうね。
さて、この本屋はスーパーのテナントの一つでしたので、訪れるお客様は主婦層が非常に多いのが特徴でした。
売れてゆく本も、「たまごクラブ」とか「ひよこクラブ」とかが非常に多く、千歳が妊婦さんを最も多く目にしたのもまたこの時期ではないかと思います。
あと、主婦の方が多いということは、当然ガキンチョの数も多いわけでして、当時、子供と接する経験がほとんどなかった千歳は、おっかなびっくりという感じで子供たちと接していたものでした。
そんなある日曜日の出来事です。
この日は休日ということもあり、いつもより五倍ましくらいで、子供たちが本屋に訪れました。主婦の方々も同様です。
しかしコロコロコミック良く売れるなー。と、千歳が考えていたときでした。
一人の小さな女の子がレジの前にやってきて、千歳をじっと見つめるのです。
女の子:「…………」
その視線がすごく気になりましたが、千歳はただいまレジ打ちの真っ最中。女の子に話しかけるわけにもいきません。
接客が終わり、やっと千歳が一息ついたところで、おもむろにその、四歳くらいの女の子は千歳に向かって言いました。
女の子:「パパ」

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