父の勘違いから生まれた、少年の悲劇。
さて、今回は、昔の話をしようと思います。昔の、父との思い出話ですね。
あれは千歳が小学生のころでした。当時映画「ランボー」が大ヒットを飛ばしてまして、シルベスタスタローンが人気絶頂のころです。父が、どこからか「ランボー」のビデオを借りてきたというのです。
そのころは今のようにレンタルビデオも普及していませんでしたから、少なくとも濱田家では夜のロードショー番組以外で映画をたしなめるという事はそうそうあることではなく、父がランボーを見るというもんだから四人家族がそろってビデオデッキとテレビの前に座って、父がビデオテープをデッキにセットするのをワクワクしながら眺めていたものでした。
ただし、千歳は映画に興味がある子供ではなかったため、ランボーがどんなものかも、またはシルベスタスタローンがどういう人なのかもあまり知りませんでした。「いくら小学生でもシルベスタスタローンを知らないなんて」と、千歳を知らない人ならそう思うかも知れませんが、千歳、映画が結構好きでよく観ている今でさえ、最近までニコールキッドマンは男だとばっかり思ってたような奴ですので、それを知っている人からみればまったく持って驚きようのない、自然な事実なのです。
なのでランボーに対する認識なんて、「アクション映画」くらいのものだったのだということを、初めに申し上げておかなければなりません。
再生ボタンを押すと、映画が始まります。
最初は子供好きのする、和やかな雰囲気で始まります。舞台はサーカスの一団のテントのようです。夜、様々な動物たちが安らかに寝息を立てていました。
そんななか、一頭の子象にカメラが集中します。どうやらこの子象は、物語のなかでも重要な位置を占めるキャラクターのようでした。しかしその子象はどうやらいじめられているようです。かわいそうに。幼い心が同情に締め付けられます。
さてさて、そっからの細かい筋は忘れましたが、クライマックスに入り、その子象は、象にしてもいくらなんでも大きすぎる巨大な耳を広げて、大空を羽ばたきます。
映画の中の誰かが叫びました。
「お前はただの象じゃない。空飛ぶ象、ダンボだ!!」

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